北海道建設新聞 2019.08.09

北海道建設新聞 (2019年8月9日) 「企業ファイル 激動に挑む経営者たち」 にてご紹介いただきました。
リンク: 北海道建設新聞 / 家と地域をつなげたい アウラ建築設計事務所


家と地域をつなげたい / アウラ建築設計事務所
住み手に寄り添った注文住宅確立

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アウラ建築設計事務所(本社・札幌)は、車いす生活を余儀なくされている人や認知症気味の高齢者を持つ施主との出会いを通し、住み手に寄り添った注文住宅を作り続けている。「北国のユニバーサルデザイン住宅」と名付け、最近は新築だけでなく戸建てやマンションのリフォームを手掛ける。山下一寛代表は「将来を見据えた家造りによって、地域のコミュニティーがいつまでも盛んになるよう、家と地域をつなげたい」と話している。

きっかけは「車いすの妻が安心して暮らせる家を造りたい」と相談に訪れた、ある夫婦との出会い。2007年にその住宅は完成したが、当時は車いす生活に関する知識がまだ薄く、手探り状態でのスタートだった。自宅を訪問し生活の様子を見せてもらい、使用している食器の数や使う頻度など細かなことまで聞き取った。

3世代が同居する戸建て設計では、出入りしやすいようスロープを設けるなどしたところ、足腰が弱く、認知症気味で家に引きこもりがちだった祖母が、積極的に外出するようになった。元気になることで社会との結び付きが再び生まれた。

当初は「モビリティーハウスの試み」として、車いす生活や体が不自由になった人に向けた住宅を展開していたが、この物件を手掛けたあたりから社会との結び付きを意識するようになり、「北国のユニバーサルデザイン住宅」と名付けて展開するようになった。

昨年完成した物件は、車いすが通る幅の分だけ玄関の上がり框(かまち)を斜め形状にし、除雪の手間を省けるよう玄関先に庇(ひさし)を設置。車いすを利用する人がベッドから好きな車を窓を通して見られるよう工夫を施した。

依頼者に寄り添った設計と機能性、デザイン性を同時に追求しているのが特徴だ。施主一人一人に合った設計をするため、決まった型はないが、これまで培ったノウハウを毎回最大限に設計へ生かしている。

時には病院でリハビリの様子を見せてもらったり、立ち座りの動作を観察したりする。手すりなどの介護用品を家中に取り付けるのではなく「一見すると “普通の家” に見えるような物件を造りたい」と語る。この思想の背景には核家族化が進み、人と人との関係が希薄化している地域コミュニティーへの危惧がある。

「設計者を含む建築技術者は、人と人との関係をつなぐような建築物を造る必要がある」というのが持論だ。誰もが訪れやすく、人と人との関係が自然に生まれる環境が理想。家も外もバリアーは取り除く必要があると考える。

「ユニバーサルデザイン住宅は地域の資産になる」と説く。住み手が変わっても使い続けられることを念頭に置く。一部を自分たちに合うように改修すれば住める仕様が基本なため、住み手を選ばない。

家族構成が変わったり介護が必要になったりして住宅を売却したいと考えたとき、買い手が付きやすい。社会問題化している空き家対策でも、一定の効果を出せると自負している。

「市町村がユニバーサルデザイン住宅の建設を後押ししたり、町営住宅で率先して造ったりすると、移住者は増えるのではないか」と提案。移住者が増えれば地域コミュニティーは盛んになる。「住宅は個人の財産だけではなく、地域を元気にする資産にもなる。これからも将来を見据えた家造りを実践したい」と話している。 (北海道建設新聞 2019年8月9日版 より転載)

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