北海道住宅新聞 2007.08.05
北海道住宅新聞 (2007年8月5日) にて、「u-h.o.u.s.e. @ i 」 が紹介されました。
※ 北海道住宅新聞社 より記事の転載許可をいただきました。どうもありがとうございます。
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車いす動線を考慮
本格的な障害者対応住宅 アウラ建築設計事務所
アウラ建築設計事務所(札幌市、山下一寛代表)は、札幌市北区に本格的な障害者対応住宅を設計し、このほど完成した。段差の解消、使いやすいプランニング、コストダウンなど今回の設計で得たノウハウを今後に役立てたい考えだ。
車庫から段差解消
車いすでそのまま室内へ
施主はアメリカ生活が長かったご夫婦で、奥さまが病気の後遺症で左半身不随となり、車いす生活を余儀なくされている。そこで、車いすでも生活しやすく、段差などの障害をなくした住宅を考えた。ご主人は精神科医で身体障害者への精神的な援助を研究していることもあって、奥さまが使いやすい家にしたいという思い入れが強いと同時に、自宅でいろいろな挑戦をしてみたいという考えもあったという。
段差の解消は、まず住宅の入口から。車いす対応の乗用車でエントランス共用カーポートに入ると、電動リフトで車いすを下ろす。リフトはタイヤの接地面の高さまで下式の引き戸で全く段差はなく、多少水が入り込んでも玄関のパッキンで止めれば良いという考え。
風除室にはクリーニングシートを置き、車いすはその上を通ることでタイヤの汚れを取り除き、室内に入る。
玄関横には将来自力で外出することを考え、スロープをつけた。勾配は20分の1とかなりゆるめに設定。車いすを片手回しの弱い力で登れるようにと配慮した。
玄関は、車いすで方向転換をしやすいよう、カウンター下に「えぐり」を入れ、車いすがすっぽり入る余裕がある。キッチンは幅330㎝のI型。L字型のレイアウトだと、囲まれたスペースがキッチン専用となってしまうため、I型とした。キッチン下は、車いすが入りやすいように収納スペースはかなりカットしている。キッチン天板の高さは75㎝と低め。これは(株)樋口に依頼した。吊り戸棚に収納している物はご主人が取るので、ダウンウォールにはしなかった。
寝室とダイニング両方からトイレ、シャワールーム、洗面所に行けるようにしたのもポイント。当初は寝室からのみの予定だったが、来客がトイレに行くとき寝室を通らなくて済むよう、階段横に引き戸を設けた。トイレはオープンな造りだが、寝室から直接見えない位置になっている。引き戸は、夫婦2人の時は開け放しておく。
シャワールームも段差をなくしているが、そのままではユーティリティーに水が回ってしまうので、特注のステンレス製水返しをつけた。これに丈を長めに取ったシャワーカーテンが濡れて張りつくことで水が他のスペースに回らないようにしている。
トイレは、便座の高さを10㎝上げた車いす対応タイプは価格が高いため、通常製品の取付部分を木材などで10㎝かさ上げして対応している。
1階25坪、2階10坪で延床面積は約35坪。あまり高価な建材・設備を使わないことでコストダウンもできたという。山下代表は、「今回の経験を生かし、同様の住宅をなるべく低価格で提供したい」と話している。
(北海道住宅新聞 2007年8月5日版 より転載)
[建築]
u-h.o.u.s.e. @ i [車椅子対応住宅 設計 / 監理]
“誰にとっても優しい” バリアフリーのその先へ。真に住み手にとって心地よい空間を創ることにこだわった、1年をかけたプロジェクトです。(北海道札幌市)